一時期ですが、ネットの世界でオオアリクイに襲われて人が命を落としたというメールが飛び交い、オオアリクイは実は危険な動物なのではないかと疑われたことがあります。
このメールの真偽は別にして、日本ではあまり身近ではない動物であるオオアリクイなので、その生態について詳しいという方も多くはいないでしょう。
オオアリクイは知ればとても面白い動物なので、その生態と危険性についてご紹介しましょう。
オオアリクイは危険な動物なのか?!
オオアリクイはアリを主食にしていますが雑食性なので、果物や昆虫なども食べます。
ただオオアリクイは哺乳類の中で唯一の歯を一本も持っていない動物であり、他の動物を襲って捕獲するようなことはしません。
基本的にはとても大人しく、自ら相手に攻撃を仕掛けたり襲撃したりするようなことはせず、他の動物に出会っても無視したり逃げ出したりして、争いは好まない性格だと言えます。
ただし目と耳があまりよくないので、何か近寄ってきてもそれが何なのか完全に把握することができないため、あまりに警戒心が強くなると立ち上がって相手を威嚇したり、それでも近寄ってくると抱きついて締め上げたりします。
オオアリクイは腕力が強いので、この締め上げる行動で相手を傷つけることもあります。
他にも前足には鋭い爪があるので、この爪で相手が大けがをする場合もあるので、その相手が人間であれば危険な動物だと認識する可能性があります。
オオアリクイの生態
オオアリクイは単独行動を好む動物であり、群れて行動するのは子供が生まれた母親くらいですが、それも一年程度で解消されてしまいます。
オオアリクイは目と耳があまりよくなく嗅覚だけで生活を行っていて、動きもとても遅いので本来は天敵から狙われやすいのですが、体格の大きさと腕力の強さ、そして警戒心が絶頂に達した場合の反撃から天敵の動物からも一目置かれている存在になっています。
あくまでも自己防衛のためですが、力が強いために相手は大きな代償を負うことになるため、天敵からも狙われにくくなっているのが実際です。
ただしこの目と耳がよくないという理由から近年は人間が運転する車と接触する事故が多くなっていて、オオアリクイが個体数を減らしている大きな原因になっています。
元から人間との接触がなかったオオアリクイなので、その生態についてはよくわからない部分がありますが、環境には順応するタイプなので人間が飼育を行っても、それに伴って生活を変えてくれるというところも持っています。
オオアリクイが攻撃的でない理由
オオアリクイは細長いストローのような口をしていて、この口はほとんど開くことができない上に歯を一本も持っていないのです。
攻撃性の強い動物が最大の武器にしている歯や牙を持っていないのは攻撃性という点では不向きです。
前足には歯に匹敵するほどの鋭い爪を持っていますが、立ち上がることはできても滅多に立つことがなく飛び上がるような動作もしないので、この爪を攻撃に利用することは難しいでしょう。
他にも攻撃性を持ち合わせていない理由としては動作がとても遅いところにあり、俊敏に走ることもできないので、このような状態では相手を攻撃する前に逃亡されるか、逆に反撃されるだけでしょう。
生物でこの動作が遅いというのは攻撃性では致命的な欠陥であり、動作が速くない生物で攻撃的なものは限られていて、それは特別な種類だと言えます。
まとめ
オオアリクイは昆虫などは捕食しますが、他の哺乳動物や鳥類などを捕まえるということがないので、攻撃的な要素は必要ではないと考えても間違いないでしょう。
ただし臆病な動物というのは警戒心が異常に高まるとパニックを起こしてしまうことがあります。
オオアリクイが相手に攻撃を起こすのは嗅覚でしか相手を特定できないので、不安感が高まりやすいからです。
元から気が弱くて自分から相手を襲ったりしないので、野生のオオアリクイに出会ったら近寄らないで遠目で眺める程度にして下さい。