チンパンジーとニホンザルは、どちらも動物園で会えます。
実は、それまでにも私たちには、チンパンジーとニホンザルが登場する物語にも慣れ親しんでいることもあり、知らない人はいないでしょう。
この2種類のサルには、どの様な違いがあるのでしょう。
違いをいえる人は少ないかも知れません。
チンパンジーとニホンザルについて、調べます。
目次
チンパンジーとニホンザルの違い
チンパンジーとニホンザルの概要
[チンパンジー]
・分類:霊長目ヒト科
・分布:アフリカ西部~中央部
・生息環境:森林地域
・IUCN(国際自然保護連合)の評価:絶滅危惧種(EN)
[ニホンザル]
・分類:霊長目オナガザル科
・分布:日本(北海道と沖縄以外全域)
・生息環境:平地、山地などの森林
・IUCN(国際自然保護連合)の評価:なし
おおかたのサル類が熱帯地域に生息しているにもかかわらず、ニホンザルは、豪雪地帯に多く生息し、「真冬に温泉に入るニホンザル」として海外でも有名な様で、「雪がよく似合う」ことから「snow monkey(スノーモンキー)」という英語での名前が付けられているということです。
生息地
[チンパンジー]
・チンパンジーは、熱帯で雨が多い地域に生息しているほか、草原や雑木林、そして、2500mを超える様な高い土地にも生息しているそうです。
[ニホンザル]
・日本国内だけに生息し、北の限界が「青森県下北半島」、南は「九州地方」までといわれています。
・生息地は、山沿いの人間の住む地域から2000mほどの高い土地にあり、ほかでは、日本アルプスなど、3000mを超える場所にも生息している様です。
体の特徴
[チンパンジー]
・顔には毛がなく白っぽいですが、年を取るにつれて黒くなっていく様です。
・全身は黒色で、その毛は体のラインが分かるくらいの厚さで、薄手のセーターを着ているかの様です。
・年とともに、人間の眉毛の辺りが前にせり出してくる様です。
・頬袋はありません。
[ニホンザル]
・犬歯が鋭く発達している様です。
・顔には毛がなく、若い個体から、「白っぽい」→「ピンク~薄い赤」→「真っ赤」と年を取るにつれて、色付いていく様です。
・体の毛は、生息地の環境によって多少の違いはある様ですが、寒い地域になるほど厚く密集して生え、淡色の毛皮のコートでも着ているかの様です。
・頬袋がありますから、餌を一時的に溜めておくことができるということです。
習性
[チンパンジー]
・オスとメスと子供など、おおむね20頭ほどで群れを作る様ですが、多いと100頭近くにもなる様です。
・食料を求めて、12㎢は移動するといわれています。
・昼間は活動し、夜は木の上で休むことを繰り返している様ですが、1度使った巣は2度使わないということです。
・水を嫌うので、水を飲む以外は近付かない様です。
※溺れて命を落とした記録もあるそうです。
・自分の仲間の命や、ほかの群れの個体の命を奪って餌にすることも、たまにはある様です。
・オス同士の権力争い(次期ボスを決める)をするそうです。
※負けたオスは、群れを離れるのがほとんどだということです。
[ニホンザル]
・リーダーのオスを中心に、おおむね20~80頭、餌付けされた場所では1000頭を超える群れを作る様です。
・群れが大きくなるとリーダーとなるオスが複数現れ、大きな群れの中に小さな群れができることもある様です。
・行動は昼間で、餌を求めて、おおむね20㎢を移動するということですが、雪が降ると移動距離が格段に落ちるのだそうです。
・巣を作らないので、夜は移動した先々で過ごし、子供はメスに抱かれたまま眠る様です。
・序列は緩やかで、仲間意識(個体間の信頼関係)で成り立っているそうです。
・水は怖がらず、良く泳げる様です。
食料(食性)
[チンパンジー]
・植物、動物、両方を餌としている様です。植物では、木の葉や根、木の皮、または果物など、動物では、シロアリの様な小さな虫から、こうもりやリス、または自分よりも大きな生き物も集団で襲うそうです。
・習性のところでも触れた通り、仲間を餌にすることもある様です。
[ニホンザル]
・生息地にあるものは、ほとんど全てを餌としている様です。
・その場所によって餌の傾向が多少違い、木の実、花、キノコ、昆虫類、鳥などの卵、カエルなどの両生類など、また、魚を食べることも知られている様です。
・餌がなくなる冬場には、木の皮や海藻類、貝類も餌にしているといわれています。
天敵
[チンパンジー]
・ワシなどの猛禽類とヒョウといわれていますが、甲高い声を発して騒ぎ立て、鋭い犬歯で追い払うこともできる様です。
[ニホンザル]
・ワシなどの猛禽類にとって、子ザルは恰好(カッコウ)の餌食(エジキ)の様です。
・かつては、ニホンオオカミが天敵であった様ですが、ニホンオオカミが絶滅してからは天敵がいなくなり、強いていうならば、「人間」ということになりそうです。
繁殖と寿命
[チンパンジー]
・繁殖期は特に決まっておらず、繁殖の形態(一夫一婦など)もはっきりしない様です。
・おおむね7~8か月の妊娠期間の末、1頭、まれに2頭の子供を産むそうです。
・寿命は野生の方が短く、おおむね20年ほどといわれ、人間が飼育すると50年以上も生きたという記録がある様です。
[ニホンザル]
・地域によって差があるものの繁殖期間は、おおむね秋から春(9~3月)とされています。
・おおむね半年の妊娠期間の末、1頭、まれに2頭の子供を産むそうです。
・寿命は野生の方が短く、おおむね30年前後といわれ、人間が飼育すると30年以上も生きたという記録がある様です。
人間との関係
[チンパンジー]
・かつてより、実験動物として利用されていた様です。
・国や地域によっては、人間の食料となるそうです。
・森林の伐採が原因で、棲み処を追われているとのことです。
・ようやくレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されたり、棲み処がある地域を人間が国定公園にするなど、保護活動が盛んになってきたそうです。
[ニホンザル]
・現在では、畑を荒らす「害獣」として嫌われ、時には、駆除対象となる様です。
・森林の伐採などで棲み処を追われた結果、生息数が減っているということです。
・海外産の個体との交配が心配されている様です。
・特定の場所のニホンザルは国の天然記念物に指定されているそうです。
※宮崎県(幸島)・大分県(高崎山)・岡山県(臥牛山)・大阪府(箕面山)・千葉県(高宕山)、そして、北限の下北半島(北西部~南西部)
能力
[チンパンジー]
・個体差がある:遺伝的な要素が原因となっている
・物の位置を覚える:空間認知能力
・自分の存在感を示す:社会的認知能力
・腕力は、怪力
育ての親が、チンパンジーであろうと人間であろうと、能力に差はないという研究結果があり、チンパンジーの潜在能力は相当高いと考えられる様です。
[ニホンザル]
・視覚
視力は分からないが、視覚が優れている
「色や形」の見え方は人間と変わらない
・嗅覚
人間と同じ様に、ニオイを嗅ぐ時は鼻に近付ける
・触覚
寒さに強い
痛さに強い(我慢強い)
・聴覚
人間と同じ程度
音の記憶は薄い
・味覚
味を覚える
甘みを強く感じる
・運動能力
走る速度は時速30~40㎞:100mは、おおむね15秒
高い場所の移動は得意:電線を渡る
ジャンプは、垂直であれば1.5m以上も飛び上がることが可能
知能
[チンパンジー]
・言葉や数字を覚える
・物をおもちゃにして遊ぶ
・仲間を追悼する
・自分の姿かたちが理解できる
・おおむね3~4歳児と同じ程度の知能
[ニホンザル]
・人間の行動を観察し、それを自分のもの(習得)として使う
・目的をもって探索(冒険)する
・人間とのコミュニケーションでは、深く付き合える
・場所や時期を覚える
・おおむね幼稚園児と同じ程度の知能
チンパンジーとニホンザルの能力と知恵は、かなり高いといわれていますが、実は、何を基準に高いかということに対しては、その種類によって決め難い(これを以て高いとは決められない)ところがある様です。
それは、それぞれの種類が生きていく上での術を習得しているからであり、強いて「能力と知恵が高い」というなら、それは「人間にどれほど近いか」という人間目線の判断であろうと考えます。
まとめ
チンパンジーとニホンザルは生息地や生態などでは、多少の違いはありましたが、どちらも人間に近いといわれ、「能力と知能」は、とても高いことが分かりました。
もしも、「通訳」が入れば、コミュニケーションが普通に取れるのではないだろうか、と考えると、それはとても楽しくも、怖いとさえ思いました。
最近の研究では、「チンパンジーの知能の約半分は遺伝されたもの」と考えられている様です。
また、チンパンジーには、「アルツハイマーと戦う酵素」があるために、かからないのだそうです。
現在、人間は、アルツハイマーと大変な戦いをしているのに、「進化の過程で、その酵素をなくした」ということに複雑な気持ちになりました。
ニホンザルが温泉に入って体を温めるなどの行動は、サル類の中では珍しく、ニホンザル特有で、それは世界的に関心が高いことだと分かりました。
また今では、海外生まれのニホンザルも飼育されているそうです。