ウミガメは全ての種類でその生息数が減少傾向にあり、特にアオウミガメは絶滅危惧種に指定されていて、その生息数の増加が急務になっています。
古来より人間の住む近くにいた生物が絶滅の危機に瀕しているというのは、とても嘆かわしいことなのは間違いありません。
アオウミガメはどうしてここまで生息数を減少してしまったのか、その原因は何なのでしょうか。
アオウミガメが絶滅危惧種になった原因は?
自然界に生息する動物は、ある一定以上の個体数がいなければ繁殖が困難になり、どうしても存続が困難になってしまいます。
絶滅危惧種に指定されている動物は、有効な繁殖を行うための個体数が足りないと警鐘が促されていて、そのままの状態で放置してしまうと絶滅の危険性があります。
アオウミガメが絶滅危惧種に指定されたのは個体数が減少したからで、その大きな理由として自然の砂浜が護岸工事などで少なくなってしまったことがあげられるでしょう。
アオウミガメは砂浜に穴を掘ってそこに産卵し、地熱を利用して孵化を行っているので、砂浜ならどこでもいいというわけにはいかないのです。
孵化をするための条件を備えた自然の砂浜が少なくなったことで、どうしても特定の場所に集中して産卵を行うため、その卵や孵化した子供を狙う天敵に目をつけられやすくなってしまいます。
産卵場所が分散していればそのリスクも軽減されるのですが、同じ場所でしか産卵できなければ、それは仕方がないということなのです。
アオウミガメが減少した理由
アオウミガメは天敵に狙われやすいのですが、それは魚のように速く泳ぐことができないからです。
成体になればそれなりの速度で泳げるようになりますが、それまでは他の海中生物の中でも泳ぐのが速いとは言えません。
他の海中生物は速く泳ぐために体が流線形になっていて、それによって海水の抵抗を少なくするとともに、全身を使って尾びれなどで泳ぐ方法を行っています。
それに対してアオウミガメは平べったい体形をしていますが海水の抵抗を受けやすく、それでいて泳ぎ方も前足だけを使って泳いでいるので早くすることが難しいと言えます。
成体になれば硬い甲羅がありますし体形も大きくなるので狙われにくくなるのですが、それ以前の状態ではまだ甲羅も柔らかいため、他の海中生物のように周囲の環境に擬態したり、相手をかく乱させるために何かを吐き出したりできないアオウミガメは、成体になる前に捕食されてしまうので生存できる確率がとても低くなっています。
アオウミガメの個体数が増えない人的要因
アオウミガメと人間との付き合いはとても古くからありますが、それは人間がアオウミガメを食料としていたり、卵を採取していたからです。
アオウミガメは現在でも世界中で捕獲されていますが、その理由は食材で利用するためであり、悪いことにアオウミガメとその卵はとてもおいしいとされています。
絶滅危惧種に指定されたので公に捕獲されることは禁止されていますが、今でも個人的に捕獲したり、産卵場所が決まっているので卵を取る人が後を絶ちません。
人間も他の動物の命を与えてもらって生存できるので、それも一種の食物連鎖でもありますが、現在のように無理にアオウミガメを利用しなくても代替できるものがあるのですから、それでなくても生息が難しいアオウミガメを更にその生存を脅かす必要性があるのでしょうか。
まとめ
地中海では近い将来にアオウミガメが絶滅するという予測が出ています。
それまでいた生物がいなくなり、その原因に人間も関与しているというのは、とても悲しいことです。
アオウミガメは人間に何か危害を加えたりするような有害動物ではないので、個体数が少ないことが分かっているのですから、その保護を人間が担うのは当然の責務です。