海中生物はその多くが、自分が誕生した近くで再び子孫を残すという繁殖方法を行います。
鮭がその典型であり、川で誕生して海に生息地を変えたのに、産卵するために過酷なのが分かっていながら、自分が誕生した川を遡上していきます。
これはアオウミガメでも同じことをしていて、自分が誕生した砂浜で産卵をする習性を持っているので、アオウミガメの産卵地は特定の場所が広く知られています。
では、この広く知られているアオウミガメの産卵地というのは、何処なのでしょうか。
アオウミガメの産卵
アオウミガメの性別の違いは、尻尾のようなものの大きさで判別することができます。
あれは尻尾ではなく交接器なので、オスの場合はこの部分が大きくなっていて、パートナーがみつかって繁殖がうまくいけば、産卵の準備のために産卵地へとメスが向かって行くのです。
産卵地に到着するとメスは一度で全ての卵を産むのではなく、二週間程度の期間をあけながら数回に分けて産卵を行います。
そしてアオウミガメは産卵が終了しても繁殖期間が長いので、その期間内であれば再び繁殖することもできるので、1シーズンに複数回の繁殖と産卵を行うことも可能です。
アオウミガメが産卵の時に涙を流すというのは有名ですが、実際は体内に溜まった塩分を排出しているだけなので、産卵をしているから泣いているというわけではありません。
アオウミガメの産卵地
アオウミガメのような海中生物は同じ場所で産卵を繰り返す特性を持っている個体がいて、アオウミガメも同じ砂浜で継続して産卵を行うので、アオウミガメの産卵地として有名な場所は世界中にいくつもあります。
日本で特に有名なのは西表島や石垣島ですが、他にも外洋に面した砂浜を持っている黒島、新城島、波照間島などが日本でのアオウミガメの産卵地で有名な場所です。
世界でもタイや中東のオマーンなどアオウミガメの産卵地で有名な場所は多く、そこでは産卵時期になると日本からのツアーが企画されているほどで、アオウミガメの産卵は人間を魅了する神秘的な行為だと言えるでしょう。
産卵地になる条件は地熱が高い砂浜でなければならず、そのためにあまり寒い地域でアオウミガメの姿を見ることができないのは、産卵地が温かい場所でなければいけないのが大きく関与しています。
産卵地の減少
アオウミガメは産卵をしても孵化は地熱を利用しているため、産卵地に選ぶ場所は地熱の温度が孵化するために必要な温度を持っている場所に限定されます。
そのために生息地の中にある砂浜ならどこでもいいというわけにはいかず、そのために産卵に使った場所を継続して使うという特性を持っています。
しかし海岸は開発のために埋め立てたり、津波や高潮の被害を防止するために護岸工事を行ったりするので、そのような変化が起こるとアオウミガメが産卵したとしても孵化は困難になってしまうでしょう。
また砂浜というのは波の浸食の影響を受けやすいので、何もしなくても砂浜の面積は減少してしまいます。
このように人間と自然の両方から産卵地が奪われていくため、アオウミガメの産卵は常に問題が山積している状態になってしまっているのです。
まとめ
自然界で生息している動物は常に生息環境の減少に直面していますが、アオウミガメは産卵に適した場所が限定されているので、産卵地が無くなったから別の場所に移動するということが簡単にはできません。
このまま産卵地が無くなってしまえば絶滅するだけですので、今のうちに手段を講じなければいけません。
絶滅してからでは遅いので、行動を起こすのは一日でも早く行うべきなのです。