動物園で見るカバは、きれいな水の中で気持ちよさそうに過ごしているように見えます。
私たちも、水中でのカバの様子をよく見ることができて、楽しいですよね。
でも、驚いたことにカバは汚れている水のほうを好むのです。
それには理由があります。
では、カバの水の中の様子をみていきましょう。
カバはわざと汚い水にしてしまう!?
カバは縄張り意識が非常に強い動物です。
カバは、昼間水中で過ごすので、水の中で縄張りを主張するのです。
動物が縄張りを主張する方法は、尿や臭腺から出る分泌液などがありますが、カバの場合は、縄張りが水中ということで、水の中でも確実に臭いをつけるため、自分のフンを水中にまき散らします。
そのため、カバのいる水の中はいつも汚れているのです。
縄張りが自分の臭いに囲まれていることで安心できるのでしょう。
この他にも水が汚れる原因があります。
カバは食事のために陸地に上がります。
ときには草を求めて何キロもの道を歩いて行きます。
その道々に、自分のフンをまいて行くのです。
いわば、自分だけの道しるべですね。
カバの食事の時間帯は夕方から夜にかけてなので、暗い夜道で迷わないようにするためです。
カバはフンをするときに、尻尾を使って辺りにまき散らすので、お尻が汚れてしまいます。
そのまま水に入ったら、やはり水中は汚れてしまいますよね。
また、カバの肌は乾燥にとても弱く、陸地にいるときは乾燥から肌を守るために、分泌液を出します。
その液が赤い色をしているので、水中に戻ったときに水が汚れるのです。
このように様々な理由で水が汚れるのですが、カバにとって水が汚れて濁っていることは、とても大事で必要なことなのです。
濁った水の中にいれば、敵に姿を見られずにすみます。
カバにとっては良いことばかりなのです。
例えば、野性でいれば、カバは自分の臭いでいっぱいにして快適に過ごしているでしょう。
しかし、動物園などで飼育されているカバは、どんなにフンをまき散らしたところで、飼育員さんによってすぐに掃除され、きれいな透明の水にされてしまいます。
カバを見に来た私たちにとっては、水中のカバの様子がよく見えて楽しいでしょうが、カバにとっては、ちょっと迷惑かもしれませんね。
まとめ
カバは縄張りを主張するために自分のフンをまき散らすので、カバがいる水は汚れるのです。
そして、カバが水中を汚すのは天敵から身を守るためでもあるのです。
カバが水を汚すのにはきちんと理由があったのですね。
また、カバは自分の臭いに囲まれることで安心して暮らすことができます。
このように野生のカバは、生きるために自分の持っているもののすべてを使って大自然でたくましく暮らしているのです。