私たちヒトを含めたほとんどの哺乳類は、頸椎という首を構成する骨が7つあることは知られています。
逆に、頸椎が多い鳥類ですと11個から25個くらいあり、たとえばフクロウのように首が180度回るなんてことが可能になっています。
では、あの長ーい首が特徴のキリンはどうでしょうか。
しなやかな動きと長さから、「もしかしたら頸椎の数は人間より多いのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
そこで、今回はキリンの頸椎について紹介していきます。
キリンの頸椎の数とその大きさについて
キリンは体高が高いもので5m以上の長さになる個体もいるのですが、その半分ほどを首が占めています。
そんなキリンの頸椎の数は、結論から言いますと他の哺乳類と同じく7つです。
ですがあの長さですから当然サイズが大きくなります。
キリンの頸椎は太く、長さはひとつひとつが28cm以上あると言われています。
しかしここで疑問が一つ。
キリンはオス同士で喧嘩をする時は首をハンマーのように振り回しぶつけ合う「ネッキング」と呼ばれる行為をします。
また、キリンは基本立ったまま寝ますが、飼育下などよほどリラックスできる環境だと首を後ろへ回し腰を枕にして寝ます。
「頸椎が7個しかないしひとつひとつがそんなに長いのに、どうしてあんなしなやかな動きが出来るの?」という点です。
その答えはキリンの発達した首の筋肉にありました。
頭部と頸部は発達した筋肉と靭帯で支えられています。
首の重さだけで225kgある個体もいますから、物凄く強靭な筋肉をしていることは想像に難くありません。
また、キリンの根本部分の筋肉・骨格の構造がとても特殊な構造をしており、本来胴体の一部である第一胸椎が8番目の首の骨として運動しているということが、近年の研究で分かっています。
このことで、キリンの首は可動性が高くしなやかな動きが可能になっている、というわけです。
つまりキリンの首は哺乳類でも特殊なパターンとも言えます。
まとめ
長くしなやかに動くキリンの首を見て、同じくしなやかにくねる蛇を連想した人ももしかしたらいたのではないでしょうか?
それだけに、頸椎が私たち人間と同じく7つしかないことに驚きました。
また、首だけで200kgを超えるのですから、それを支えている首の筋肉の力強さはすさまじく思えます。
首は生き物の急所であることが多いのにそれを武器にするとは、キリンの進化には驚かされます。