人間界では、一昔前まで「父親は外で働き、母親は家を守り、子育てをする」と決められているかの様でした。
現在は、両親が働き、家事も分担し、子育ても両親で行うことになっている様です。
その方が、「両親(2人)の子供」という意識が強まる気がして良いと思いますが、チンパンジーの子育ては、どの様になっているのでしょう。
今日は、チンパンジーの子育てについて調べます。
チンパンジーのオス
◎ チンパンジーの社会は年功序列であり、オスメス関係なく毛繕いをする様ですが、この行為は、オスにとって子育てとは全く関係がないといわれています。
◎ 特にリーダーのオスは、もっぱら群れの安定とメスの授乳、子育ての環境の整備、外敵から群れを守るなどに徹底して努める様です。
◎ オスは、複数のメスと共寝を繰り返す様ですが、メスにも考えがあって、複数のオスと進んで共寝をするそうです。
◎ オスは、共寝したメスがほかのオスとの回数が多いと感じると、その生まれた子供がオスの場合は、命を奪うことがあるといわれています。
◎ チンパンジーのオスは、複数のメスと共寝を繰り返すのが普通の様ですが、子供が生まれ、例え自分の子供であっても、子育てはメスに任せ、群れの安定に努める様です。
チンパンジーのメスの子育て
◎ チンパンジーのメスは、250日前後の妊娠期間を経て、1頭を出産するのが一般的だそうです。(2頭出産の記録もある様です。)
◎ 出産の前後おおむね3週間は、オスやほかの個体に子供を奪われない様に、「産休=母子だけで群れを離れて暮らす期間」を取ることが分かってきた様です。
◎ 子供がメス(母ザル)から離れて遊べる様になる(離乳完了)までのおおむね5年、子供はメスの胸や背中にしがみつき、何をするにも一緒だということです。
◎ 子供が離乳完了の頃になると、メスは再び繁殖が可能となり、体には変化(尻の性皮が大きく膨らむ)が現れ、オスの受け入れが可能になる様です。
- 子育ての方法を知らないメス
チンパンジーのメスにとって「子育てをする」ということは、「本能」ではなさそうだといいます。
「群れの中の先輩のメスがオスと共寝をし、出産と子育てする」その光景を見ながら育つことで、自分の子育てが成り立つ(上手くいく)のだと考えられています。
その証拠といえるのが、幼い頃に親から引き離され、人間の中で育てられながら芸をしたり、動物園などで過ごしたメスが、自分の出産した子供を見て、どうして良いか分からずに、子供を振ったり、上下逆さまに抱いたり、乳を吸う子供を押さえて窒息させそうになったり、酷い時は、子供から飛び退いてしまう(いきなりの育児放棄)行動を起こすそうです。
チンパンジーのメスにとって、幼くして群れを抜けることは、決して良いことではない様です。
まとめ
チンパンジーの子育ては、メスの仕事でした。
その役割分担ははっきりとしていて、特にリーダーのオスは、子孫を残すために複数のメスと共寝するだけの様です。
メスは、群れの中での力が強いオスの子供を産むために、時のリーダーとだけではなく、複数のオスとも共寝をすることが分かりました。
また、群れのメスが同じことを考えて同じ行動に出るも出産ができなかったメスやほかのオスが、無事に生まれた子供に手をかけることがあり、それを避けるためにメスは出産が近付くと、その前後おおむね3週間ほど、群れを離れてひっそり出産と子育てをすることも分かりました。
幼くして親(群れ)から離されたメスは、出産しても子供の扱い方を知らないことにも驚きでした。
「子育ては、本能ではない」と説明された時、チンパンジーにとって群れがどれほど大切か、分かった様な気がします。