「日本にいないアフリカゾウは、動物園に行けば見ることができる!」と思って育ってきた世代からすれば、現在では「動物園に行ってもアフリカゾウを見ることはできない!」事態になっている様です。
こんな日がくるなど、考えもしていませんでした。
ですが、現在、アフリカゾウを展示していた動物園が、どんどん減っているのが現実なのだといいます。
動物園もただアフリカゾウが減っていくのを黙っていた訳ではないですが、上手くいかないそうです。
アフリカゾウは、日本では繁殖できないのでしょうか。
調べます。
アフリカゾウの繁殖
●オスの群れの中で「メスとの共寝ランク」が戦いにより決まる
●上位ランクのオスから群れのメスへ求婚行動を行う
●メスの発情期の様子は「高く上げた頭と大きく開いた眼」で見極める
※メスの発情期の周期は5年前後で、たったの1週間ほどである
●オスは、メスの臭いを嗅ぎ取って、妊娠の可能性をはかる
●オスを受け入れたメスは、群れから外れ、オスからも逃げる
●オスはメスを追いかけるその先で、ようやくメスはオスを受け入れる
●オスとメスは共寝を繰り返すが、メスがオスを受け入れるのは1頭だけではない
●メスが妊娠すると、オスから離れて、また群れを作る
この様に、アフリカゾウには昔から受け継がれてきた繁殖方法がある様です。
野生のアフリカゾウが減ってきたとすれば、オスも、発情期を迎えたメスも、お互いが出会う確率も下がり、繁殖するチャンスも逃してしまうと考えられています。
日本のアフリカゾウの繁殖事情
●野生動物の取引に関する条約(「ワシントン条約」)が厳しくなったため輸入が難しい
●国内での多頭飼いができる環境作り(生息地に似せた土地の確保)ができない
●繁殖能力のあるメスに対して適齢のオスがいない
●妊娠したかどうかが分かりづらい
●オスの体液を採取して人工受精の研究をする
●発情を誘発する薬剤の使用
●繁殖経験のある個体でペアリングをするが、多くの巡り会わせがない
●共寝から出産までの管理と手助けをする
●子ゾウの子育てを放棄したメスがいない時の代理メスがいない
●地域や国を越えて、長い期間、個体の貸し借りをする
日本の動物園でアフリカゾウを繁殖させるには、
- アフリカゾウの繁殖に対する研究がまだ足りない
- アフリカゾウ自体の輸入が厳しくなっている
- 飼育費用がかかる
- アフリカゾウのための土地の確保が難しい
など、アフリカゾウにとって、日本は良い環境とはいえない様です。
まとめ
アフリカゾウは、絶滅危惧種に指定されている動物です。
生息地では保護活動が盛んになってきた様ですが、ただでさえ繁殖(発情)周期が長い上、オスの象牙を奪うためだけの乱獲が、あとを絶たないために個体数がますます減ってきているといわれています。
一方、日本では、昔から飼育してきたアフリカゾウの高齢化と適した個体数や環境を整えることができず、増えるどころか、減る傾向にある様でした。
アフリカゾウを日本で繁殖させるには、「もう遅いのか!?」と思わせる条件があまりにも多く見つかり、繁殖に対する研究が進むことを願うばかりです。