チンパンジーは、私たちと同じ「ヒト科」の動物です。

遺伝子レベルでは、たったの2%しか違わないのだそうです。

チンパンジーは、群れを作って集団生活を送っているというのは知られています。

人も一昔前までは、血縁関係での、いわば「群れ」で生活していました。

チンパンジーの群れは、どの様な仕組みになっているのでしょう。

チンパンジーの生態と群れのでき方などについて調べます。

チンパンジーの生態

チンパンジー 群れ オス メス ボス

◎ チンパンジーは、群れを作る様です。

◎ 群れで常に行動している訳ではなく分散していることもある様ですが、メスと子どもは子どもが離乳するまで一緒に行動するそうです。

◎ 餌の確保が難しい時期は、特に数日から数週間の分散が起こる様ですが、群れの解散ではなく、自分の群れは認識しているということです。

◎ ボスは群れの中から誕生し、ボスは基本的に血縁か戦いによって受け継がれていく様です。

◎ メスは繁殖可能年齢になると、オスを選ぶのではなく群れを選んで移籍するといわれています。

◎ 狩りはオスが行う様ですが、確保した餌は群れに持ち帰り分配されるのではなく、仲の良いオスや少数の仲間で分け合うそうです。あとは、奪い合いとなるそうです。

◎ 餌の獲得は、強い個体が有利となり、メスと子ども、高齢の個体、弱いオスなどは、たいてい自分で捕れる範囲の餌を捕るしかない様です。

◎ 繁殖の形(一夫一婦や一夫(妻)多妻(夫))は決まっておらず、お互いが複数と共寝をするそうです。

◎ 同じ群れの仲間であっても命を奪い合うこともあり、時には、ほかの群れの個体を襲うこともある様です。

◎ チンパンジーは知能が高いので、群れの仲間同士で複数種類の声を出し合って会話(意思の疎通)を行っていることが分かっている様です。

以上のことが一般的にいわれているチンパンジーの生態ですが、チンパンジーの社会は、どの様になっているのでしょう。

チンパンジーの社会

◎ 大人のオス(14~15歳以上)と大人のメス(13~14歳以上)、若い個体、子ども(8歳頃まで)、赤ちゃん(4歳頃まで)が数多く入り混じって20頭ほど(多いと100頭近く)の群れが1つの社会を作っている様です。

◎ この1つの社会が、1頭から数頭で「分散と集合を繰り返していく」中で、群れ全体の数も元々より増えたり減ったりしていく様です。

◎ 分散と集合の繰り返しがあっても、母親と赤ちゃんは一緒に行動するそうです。

◎ メスは10歳前後になると群れを出て別の群れに移籍し、そこで繁殖と出産を行い元の群れに戻ることはないそうです。

◎ オスは外の群れに移籍することなく、生まれた群れにとどまって群れを守っていくので、しっかりとした「父系社会」が確立されているそうです。

◎ チンパンジーには、はっきりした順位(年功序列)がある様ですが、個体同士は序列をあいまいにしておきたい傾向が見受けられる様です。

それは、個体自身が自分の順位を理解しているからだといわれていますが、上位の個体は、時々、序列を確認する戦いをするともいわれています。

◎ 大人のオスは、群れの中でオス同士の小さな群れを作り、無駄な争いを避けるために、意思の確認を常に行っているそうです。

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チンパンジーのボスの決め方

チンパンジーのボスは、「戦い」だけで決まるものではない様です。

  • 「自分がボスだ」とアピールする

現在のボスに衰えが見えてきた頃、次期ボス候補(立候補)が、どのオスよりも早く自己アピールを行う様です。

声を上げながら木に登ったり、揺すったり、蹴ったり、水場に大きな石を投げ込んだりなど、周りの個体が驚くくらいに大騒ぎをして「自分には力があるぞ」とアピールし、騒ぎが収まった頃には、ボスの座にすんなりと収まっているそうです。

元のボスは訳が分からず、みんなの支持が騒いだ方に移り、気が付くと失脚させられているといった具合だといいますが、まだ支持者(?)が残っている場合は、それらを引き連れて群れを出るそうです。

そして、元のボスが、もう1度ボスの座に返り咲く機会を狙う場合もある様です。

  • 周りがボスと認める

ボスに挑戦する個体が現れ、ボスとの一騎打ちが始まるそうです。

ボスと挑戦者は、声を上げながら木に登ったり、揺すったり、蹴ったり、水場に大きな石を投げ込んだりなど、「自分の方に、より力がある」と互いにアピール合戦をします。

やがて、周りが勝敗を判定し、認められた方がボスとなり、負けた方は、群れを去るという仕組みの様です。

チンパンジーのボスの様子

◎ ボスはたいてい群れの中心に陣取って、第1夫人の様なメスをそばに置き、周りには数頭のメスを置いて、ほかのオスとは少し違った空気感を持って、群れを見守りながら、時々、強さをアピールする様です。

◎ ほかの群れから攻められた場合は、群れを守るために、群れのオスたちと戦うそうです。

◎ ボスは、自分の子孫を残すために、別の生まれた子どもを手にかけることもある様です。

また、ほかの群れを襲った場合も、その群れの個体にも手をかけ命を奪う様ですが、どちらにせよ、その様子は見るに堪えない状況になるということです。

◎ ボスは常に、次期ボス候補の挑戦を受けなければならないそうです。

それが「アピール合戦」になるのか「命をかけた戦いになる」のかは、挑戦者次第だということです。

ボスにまだ力が残っていて、たまたま地位が逆転したとしても、リベンジでボスに再び返り咲く場合もあるといいます。

チンパンジーのメスの様子

◎ ボスから1番目をかけられているメスは、常にボスのそばにいて、ボスの世話をしている様です。

◎ 子どもがいるメスは、子どもが4歳くらいになるまで片時も離れず、子育てに集中する様です。

◎ ボスのそばに行けなかったメスや、妊娠ができなかったメスは、同じ群れのメスが生んだ赤ちゃんの命を奪うことがあるといいます。

それは、強いオスと自分との子孫を残すためだということです。

そのために、強いオスの子どもを出産間近のメスは、群れを離れてひっそりと出産するといわれています。

研究者の間では、この期間を「産休」と呼んでいるということです。

まとめ

チンパンジーの群れは、大人のオスとメス、若い個体、子ども、赤ちゃんが数多く入り混じって20頭ほどか、それ以上からなる完全な「父系社会」であることが分かりました。

メスは、強いオスの子どもを出産するために、複数の上位のオスと共寝をするそうです。

ですが、必ずしも妊娠できるとは限らず、妊娠できなかったメスは、ボスの子どもであろう赤ちゃんの命を奪ってしまうことから、出産間近のメスは、群れを数週間離れることも分かりました。

オスは自分の血筋を大切にするため、別のオスの子どもが次期ボスになることは、かなり難しい(命がけの戦いを制する)ことが分かりました。

ボスは、「常にボスの座を奪われる緊張感の中、ボスをやっている」、いわば、ディフェンディングチャンピオンであると理解しました。

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