「オオミノガ」という名前を見て蛾を想像する方も多いのではないでしょうか?
オオミノガはチョウ目ミノガ科に属する昆虫です。
確かにオスは「蛾」になりますが、メスは「蛾」にならず芋虫の形で一生を終えます。
更に成虫になると、オスもメスも口が退化してしまい、花の蜜や葉を食べることが出来なくなってしまいます。
共寝した後にオスはすぐに亡くなり、メスも卵を産んだのちに亡くなってしまいます。
またオオミノガは絶滅危惧種に指定されています。
中国からの外来種である寄生バエ(オオミノガヤドリバエ)の影響からです。
一時は激減したオオミノガですが、幸いなことに最近は徐々に個体数を回復しつつあるそうです。
さて、成虫になると非常に儚い命となるオオミノガですが、幼虫はどのようなものなのでしょうか?
今回は気になるオオミノガの幼虫について、詳しくご紹介していきたいと思います。
オオミノガの幼虫、その生態は?
オオミノガは平地~低山地に生息しています。
日本列島(本州、四国、九州、対馬、屋久島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島)に多く分布しています。
かつては都市部でも見ることができましたが、上記のようにオオミノガヤドリバエの侵入により近年では見かけることが難しくなってしまいました。
幼虫は20日ほどで卵から孵化します。
親が作った蓑から出ると糸や風を利用して木の枝に移ります。
その後、小さい蓑を作って、サクラ、クリ、ヌルデ、カキノキ、イチジクなど多くの広葉樹の葉っぱを食べて育ちます。
夏から秋までの間に数回の脱皮を繰り返して大きくなっていきます。
それとともに枝や葉っぱを蓑に付けて大きくなっていきます。
7回ほどの脱皮を繰り返すと、次に越冬の準備に入ります。
越冬の準備をする際には、食事をやめて蓑の葉や枝を口から吐く糸を使って綴り合せていきます。
この糸は非常に強力で、クモの糸の約2.5倍の強度があるといわれています。
越冬するためにもこの糸の強度が欠かせないのです。
幼虫の間に越冬をします。
越冬の間は蓑の中にこもり、食事はしません。
そして春になると蛹になります。
その後、初夏に羽化し、子孫を残して一生を終えます。
まとめ
今回はオオミノガの幼虫の生態について詳しく説明してきました。
一生のほとんどを幼虫で過ごし、子孫を残すために成虫になる姿は何とも儚く切ないですね。
オオミノガの幼虫が持つ糸は繊維の研究で期待されています。
また日本産のミノムシということで、これ以上減ることがないように保護活動をしていきたいものですね。