ちいさな熊のようにかわいいタスマニアデビルですが、日本の動物園にいます。
絶滅に瀕している動物は国外に持ち出したり、売買はもちろん、飼ったりはできませんが、タスマニアデビルの場合は絶滅に瀕しているからこそ、という理由で日本の動物園が世話をしています。
どうしてでしょうか。
絶滅の危機のタスマニアデビルがどうして日本の動物園に?
タスマニアデビルの絶滅の理由が、大量捕獲のせいではなく、危険な感染性の腫瘍であるためです。
20年ほどまえに発見された顔面腫瘍のために20年で80%の個体数の減少が確認されました。
このまま放置すれば、簡単に絶滅してしまいます。
オーストラリア政府は諸外国に協力を求め分散飼育に踏み切りました。
協力国はニュージーランド、アメリカ、日本などです。
ですから、日本の動物園にはレッドカードのタスマニアデビルが飼育されているのです。
以前に天王寺動物園などでも飼育されていたのですが、現在は多摩動物園のみで飼育されています。
タスマニアデビルの分散飼育とは?
トキの場合などは、鳥インフルエンザなどの病気を想定して飼育場所を複数にしています。
絶滅を回避するのが目的ですが、タスマニアデビルの場合は病気は蔓延中です。
絶滅を回避する目的は変わりません。
日本の動物園で飼育されていますが、アジアでは唯一の飼育場所でもあります。
最初は2016年に2頭のメスがやってきました。
残念ながら1頭のメスが2017年12月にリンパ腫で亡くなりました。
2017年12月11日現在は、オス2頭、メス1頭の飼育数になっています。
気になるリンパ腫ですが、これは絶滅原因の顔面腫瘍とは無関係の腫瘍であるという事です。
まとめ
人間の都合でレッドカードに追いやられた生物はたくさんいますが、その危機を乗り越えながらまたもや絶滅の危機に瀕したタスマニアデビルです。
人間は今度はタスマニアデビルの絶滅を回避する側に回っています。
日本の動物園にタスマニアデビルがやってきたのはそんな理由があったのですね。
恐ろしい名前ですが、小さな熊というイメージのかわいいタスマニアデビル。
顔面腫瘍が撲滅されたとしても、ふるさとのタスマニアで絶滅を回避できるかどうかはわかりません。
人間が持ち込んだキツネがタスマニアに生息している限り、タスマニアデビルが肉食動物の頂点には立てないからです。
絶滅だけは回避してほしいなどというのは人間の勝手でしょうか。